ニュースリリース

第173回マーケティングサロンレポート「日本マーケティング本大賞2022」準大賞受賞記念 『マーケティングの新しい基本』

第173回マーケティングサロン:オンライン
テーマ:「日本マーケティング本大賞2022」準大賞受賞記念マーケティングサロン『マーケティングの新しい基本』
 
日 程:2023年3月28日(火)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
ゲスト:奥谷 孝司 氏(株式会社顧客時間 共同CEO / オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員 COCO(Chief Omni-Channel Officer) / 株式会社イー・ロジット社外取締役 / 株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役)
    岩井 琢磨 氏(株式会社顧客時間 共同CEO)
サロン委員:小谷 恵子
 
【サロンレポート】
 「日本マーケティング本大賞2022」にて準大賞を受賞された、『マーケティングの新しい基本』(日経BP)の著者である奥谷孝司氏と岩井琢磨氏に、同書の紹介と、デジタル革命が引き起こすマーケティングの進化についてお話いただきました。
 

 
【講演内容】
 本書は2018年に出版した『世界最先端のマーケティング』から4年経った2022年に出版されました。当時の最先端は2022年における新しい基本となっており、コロナ禍により顧客自体がデジタルによって急速に変化をしたと言えます。顧客から見ると、デジタルを前提として暮らしが変わり、顧客価値が変わり、競合(選択肢)が変わりました。ダークストアやlululemon、Amazon Fresh、ニトリなどの事例をみていくと、店舗とネットストアをつなぐというだけではなく、ネットでのつながりを通したリアルの体験というチャネルの変化が起こっています。
 
 デジタルによる顧客価値のシフトは3つの三角形のピラミッド構造になっています。機能価値(Function Value)、体験価値(Experience Value)、そしてつながっている価値(Engagement Value)、これが内包する形で高次に差別化を進めます。
 

 
 米国PELOTONを例にみると、フィットネスという機能価値を提供し、顧客に最適なプログラムという体験価値を提供していますが、これだけでは差別化に至りません。PELOTONではさらに、多様性のあるインストラクターやユーザーのコミュニティとのつながりを醸成し、それが高次の“つながっている価値”となっているのです。
 これを実現するには、4Pの間にエンゲージメントを置くことが重要になってきます。Placeはモバイルによってプレイスレスになってきています。顧客のデータをモバイルから取得しながら、エンゲージメントを高めるためにProduct、Price、Promotionを連動させるというモデルになります。ただし、顧客接点のシステムだけをデジタルシフトするだけでは不足で、DXの本質は人ですので、これを実現するための事業組織、顧客戦略といったものを、デジタルを前提としたものに変えていかなければいけないと考えています。
 最後に9つの問いを投げかけたいと思います。

  1. デジタル社会における自社の事業目的とはなにか
  2. デジタル社会における自社の事業目標はなにか
  3. その事業目標を達成するためにどのような顧客戦略が必要か
  4. その顧客が自社とつながり続けたいと思う顧客価値はなにか
  5. その顧客価値を実現するためにどのような顧客接点が必要か
  6. その顧客接点を通して、どのような顧客提案が必要か
  7. その顧客提案を行うためにどのような顧客理解の仕組みが必要か
  8. これらの事業成果を、どのような指標で測るか
  9. これらを実現し運用するためにはどのような事業組織が必要か

 この順番で自らの事業を問うてみることが求められています。
 
【サロンを終えて】
 講演では、デジタルを前提としたビジネスモデルの豊富な事例を提示いただきました。AmazonやPELOTONといった海外企業だけでなく、YAMAPという登山地図アプリや登山グッズを売るショッピングサイトを展開している日本企業についてのご紹介も頂きました。YAMAPはアプリで行動履歴を取得しながら、山を中心に企業もコミュニティの一員として顧客とつながっており、人と山をつなぐというエコシステムを構築していました。

 時代は、デジタル前提の事業目的・目標、顧客戦略、事業組織を求めていることを改めて理解しました。2040年には訪れるといわれるデジタル社会に向けて、自身のいる組織や自身の今後について、常にいただいた9つの問いを問い続けなければ、と気持ちを引き締めた次第です。
 参加者からも「大変楽しく勉強になりました。刺激になりました。」「デジタルで顧客とつながることでAmazon Freshのようなデータに基づいた商品づくりがすでに実現していることに驚きました。デジタルを前提にした時の顧客の行動変容がどう起きるのか、人間にしかできないことは何か、この視点を持ちたいと思います。」といった感想をいただきました。
 出張先からご講演くださった奥谷様、岩井様、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
 
(文責:小谷 恵子)

 
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