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研究報告会レポート

第4回サステナブル・マーケティング研究報告会レポート「脱炭素時代の生活者意識の変化 / 社会課題解決型事業推進とマーケティング課題」

#いまマーケティングができること

第4回サステナブル・マーケティング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:脱炭素時代の生活者意識の変化 / 社会課題解決型事業推進とマーケティング課題
日 程:2022年3月14日(月)15:30-17:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会アジェンダと実施概要】
15:30-15:40「オープニング挨拶」
司会・進行:青木 茂樹(駒澤大学 経営学部 教授)

 本研究会の紹介に加えて、将来のカーボンニュートラル社会への転換を前提とした生活者の意識の変化に併せて、それに応じたサステナビリティ価値訴求のためのマーケティングが必要であることを伝える。
 
15:40-16:00「研究発表①:脱炭素時代の購買に関する生活者意識調査」
萩谷 衞厚(株式会社 メンバーズ プロデューサー、Social Good Company編集長)

 2021年9月に気候変動問題や購買に関する生活者の意識調査を実施(n=1,118)。今回は調査結果の概要を伝える。
 性別、年齢問わず、すべての層で気候変動の関心層は半数を超え、年齢層が高くなるほど、関心・理解ともに高まる結果となった。また、全体の67%が気候変動に配慮した商品の購入意向があるものの、直近6か月で購入した層は28%に留まる。しかし、28%の購入層の実に96%が配慮型商品への継続購買意向を持つ結果となった。
 こうした結果から、気候変動に対応する商品やサービスの提供はもはや生活者のニーズであり、それに対応することはマーケティング上も有効な施策であると考えられる。
 

 
16:00-16:30「研究発表②:社会課題解決型(SDGs)事業における取り組みの実際とマーケティング課題」
砂川 和雅(キャスレーコンサルティング株式会社 代表取締役CEO)

 サステナブル・マーケティングと親和性が高いと考えられる、社会課題解決型事業(CSV)の視点から、自らが創出・マネジメントするインドのアグリテック事業の紹介を通して、事業創出・マネジメント・開示のあり方を報告。
 事業計画、インパクト・マネジメント、統合報告の観点から、パーパスの明確化や市場性×社会的インパクト視点の重要性、財務価値と非財務(ESG)のストーリー化などが、通常の事業とは異なり重要であることを挙げる。社会課題解決型事業は、実務上も未着手となっている領域が多く、大きなビジネスチャンスであると同時に、今後もより一層、企業や社会からも要請されるテーマであると考えらえる。
 

 
16:30-17:00「質疑応答~他研究会構成員も含めたディスカッション~終了挨拶」
 上記2点の研究報告会終了後もオンライン受講者の退出はなく、多くの参加者の興味関心は高かったと思われるが、受講者からの質問やコメントは皆無であった。
 改めて、青木教授より、2021年秋 カンファレンス ポスターセッション時の資料を用いて、サステナブル・マーケティングの定義の解説を行う。その後、他研究会構成メンバー同士のディスカッションとなったが、発表者 砂川氏による「社会課題解決型事業では競合は存在しない」とのコメントが非常に印象的であった。
 
所感
 世界に蔓延する新型コロナウィルスに加え、日本政府による2050年のカーボンニュートラル宣言は、生活者にとって新たな価値観を求めることになり、購買行動にまで影響を与えていることが理解できた。また、気候変動をはじめとする社会課題解決型の事業は、通常の事業とは異なり、パーパスやストーリーがより求められることを改めて実感する内容であった。
 社会課題解決型の企業の取り組みは、これまでの社会貢献やフィランソロピー活動に留まらず、社会課題解決型の事業(CSV)へと進化することにより、事業そのものの継続性が担保される。また、社会課題解決型の事業の推進には、サステナブル・マーケティングがより重要な役割を示すものと確信することとなった。
 
(文責:萩谷 衞厚)

 
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