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研究報告会レポート

第1回web3研究報告会レポート「WEB3時代の新たなマーケティングを紐解く」

第1回web3研究報告会(リアル・オンライン併用開催) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:WEB3時代の新たなマーケティングを紐解く
講 演:「Web3とメタバースがもたらす可能性と課題」
講演者:高木 聡一郎 氏(東京大学大学院 情報学環 教授)
ファシリテーター:小谷 恵子 氏(明海大学 講師)
日 程:2023年6月28日(水)19:30-21:30
場 所:青山学院大学 青山キャンパスおよびZoom使用によるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 web3研究会では、進化するデジタル技術の中で社会活動の変化を捉え、マーケティングの新しい領域を紐解いていくことに焦点をあてています。第1回の研究報告会では、東京大学大学院でデジタル技術の社会的影響を研究されている高木聡一郎先生をお招きし、AIやブロックチェーンの技術が社会活動の中でどのように使われているか、またどんな問題点や課題があるのかについて、分かりやすいコンセプトの提示と具体的な事例により講義を頂きました。
 
デフレーミングというメガトレンド
 フリクションの少ない社会とは、デジタルによる取引コストが低減することで蜜接合な社会システムが市場的なシステムへ移行して実現する、という解説から講演が始まりました。また、デフレーミング要素の中で特にWeb3に関係するものは、組織運営や働き方での個人化であり、個人の連携により従来型組織による信頼を代替するのがWeb3であると解説がありました。
 
Web3の系譜と展開
 マトリックス図が提示され、横軸には時間軸で『情報共有をしても改ざん無し』→『価値流通の仕組みを簡単化』→『価値のトレーサビリティを担保』の3つのメリットが示され、縦軸には『情報システムとしてのブロックチェーン』、『社会システムとしてのブロックチェーン』の2つが示され、合計6つのカテゴリーに分けてそれぞれの特徴が説明されました。ブロックチェーンからWeb3においては、短機能から多機能、通貨からプラットフォーム、プロトコル重視からコミュニティ重心の移行があるとしています。さらに、NFTの仕組み、DeFi、DAOなどについても詳細な説明に加え、Web3には経済的インセンティブと社会運動の2つの側面があるとの考えが示されました。
 
Web3とVRの交差点/メタバース
 現時点のメタバースは、それぞれに進化してきたWeb3とVR・ARの歴史的交差点であり、今後の2つの領域が独自に進化することもありえることが示唆されました。
 
プラットフォームとして見たメタバースの課題
 リアルな現象として、東京と地方都市との1950年代から現在に至る人口増減の地域間比較のグラフが示されました。このグラフから、歴史的な産業構造の変化、その中での重要な資源、集積の方向性について解説がありました。その延長でのSociety5.0においては、デジタルプラットフォームとリアル都市の連携・競争がなされ、都市の新しい拡張もあるのではないかとの考えも示されました。また、デジタルでの物理的制約に関して、3Dによる情報量の多さでデジタル空間でのユーザー密集がネックとなり、これまでのプラットフォームにおける数の多さによるビジネスモデルが踏襲できるかどうか、そしてニッチ&リッチというモデルも生まれてくる、などの解説がなされました。
 
質疑応答
 講義終了後に質疑応答が行われ、ブロックチェーンに関するビジネスへの効果的な適用方法、現在のWeb3の盛り上がりは思想とお金の両面が存在すること、DAOのデジタルとリアルの関係はグラデーションではないか、Web3へのマーケティングとしてのアプローチや研究についてなど、多くの議論が行われ、研究会は締めくくられました。
 最後に、ご講演いただきました高木先生、ご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
 
(文責:渡邊 力)

 
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