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第14回フードビジネス・イノベーション研究報告会レポート「フードビジネスにおける競争力の創造と歴史文化」 |
第14回フードビジネス・イノベーション研究報告会(三都市カンファレンス:大阪会場)
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テーマ:フードビジネスにおける競争力の創造と歴史文化
- 歴史による食体験のイノベーション:ビアバー「麦酒大学」の差別化戦略を事例にして
久保 健治(株式会社ヒストリーデザイン代表 / 兵庫県立芸術文化観光専門職大学 非常勤講師) - クロストーク&質疑応答
久保 健治(同上)
尾藤 環(辻調理師専門学校 講師)
日 程:2025年3月8日(土)13:30-14:40
場 所:武庫川女子大学 中央キャンパスおよびZoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
第14回研究報告会は、2025年3月8日に開催された「三都市カンファレンス2025」の大阪会場(武庫川女子大学)にて、「フードビジネスにおける競争力の創造と歴史文化」というテーマで、フードビジネスと歴史の関係について議論しました。
研究報告会では、まず株式会社ヒストリーデザイン代表で兵庫県立芸術文化観光専門職大学兼任講師の久保健治氏から「歴史による食体験のイノベーション-ビアバー「麦酒大学」の差別化戦略を事例にして-」というタイトルで講演いただきました。最初に久保氏が2023年11月に出版した『ヒストリカル・ブランディング-脱コモディティの地域ブランド論』をもとにして、歴史が脱コモディティ化を実現できる理論的背景が説明されました。その後、今回のテーマであるフードビジネスの事例として、東京都中野区にあるビアバーの「麦酒大学」が紹介されました。麦酒大学は昭和時代に存在したビール技術である「注ぎ分け」を現代的に再現し、コモディティ商品になりがちなビールにイノベーションを起こして高付加価値化を実現したとし、それを実現できた要因について分析が行われました。その後、それらが実現できた背景には歴史が大きく寄与していると発表されました。

次に、本研究会の企画運営メンバーである尾藤環氏(辻調理師専門学校企画部部長)をファシリテータに迎え、オーディエンスからの質問を受けながら、久保氏とのクロストークを行いました。オーディエンスからは活発な質問が行われ、会場で有意義なディスカッションをすることができました。尾藤氏からは、最近ではスキルがYouTubeなどで公開されるようになってきており、料理人の状況が変化してきたという状況が語られました。そして、そういった変化を受けて昨今では飲食店の経営と価値提供が異なるものとして認識されており、飲食店の価値提供においてコンセプトの重要性が高まっているとの指摘がありました。最後に、フランチャイズ化が進んでいく飲食業界において個店が生き残っていくための戦略として、コンセプトを明確にした「負けない経営」が必要だとし、それを実現するための要素として歴史の重要性が指摘されました。
【研究報告会を終えて】
今回は、昨年の春の三都市リサプロ祭り(三地域での同時開催&ライブ配信)をカンファレンスに昇格させた三都市カンファレンスでの開催となり、昨年同様、会場に来られた方だけでなく、ライブ配信でも多くの方に参加いただき、非常に有意義な研究会となりました。また、会場となった武庫川女子大学の講演スペースは、教室として使用しながら従来のそれと異なるオープンなもので、研究会の在り方を考える上で大きな刺激となりました。会場を提供いただいた武庫川女子大学の皆様に心から感謝申し上げます。
なお、フードビジネス・イノベーション研究会では、一緒に研究会を盛り上げてくれる仲間(企画運営メンバー&報告希望者)を募集しております。気軽に小林(
)までご連絡ください。お待ちしております。

