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研究報告会レポート

第8回地域創生マーケティング研究報告会レポート「SDGsにおける地域創生マーケティング・アジェンダ」

第8回地域創生マーケティング研究報告会 (三都市カンファレンス:福岡会場) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:SDGsにおける地域創生マーケティング・アジェンダ
報告者:陶山 計介(関西大学 名誉教授 / 一般社団法人ブランド戦略経営研究所 理事長)
    田中 洋(中央大学 名誉教授 / 東京大学 非常勤講師)
    西村 順二(甲南大学 経営学部 教授 / ビジネスイノベーション研究所 所長)
    山口 夕妃子(佐賀大学 芸術地域デザイン学部 教授)
日 程:2025年3月8日(土)9:00-10:10
場 所:福岡大学およびZoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 本セッションではまず山口がSDGsゴール達成のための新しい道筋をマーケティングや流通の視点で企業や地域を取り巻く様々なステークホルダーとの連携といった多様な視点や新しい価値の創出について解題を行い、それをふまえて山口の司会・進行のもと対談形式にて議論を深めました。焦点は、SDGsを実現するためには従来のマーケティング手法や理論をどう活用するか、またそれらをどのように地域創生に適用するかに置かれました。
 山口は、企業の社会的責任(CSR)活動や地域と連携したマーケティングが求められていると指摘しました。ひとつは、企業と地域が協力して社会的価値を創出すること、またその社会的価値と共に経済的利益の両方を生み出していくことが、持続可能な社会の実現につながるという点です。もうひとつは、従来のマーケティングとの違いとして求められているのは、将来のニーズや目標が先に設定された「バックキャスティング」という視点を取り入れた新しいマーケティングアプローチが求められているということです。
 西村は、マクロレベルの観点から、地域課題の複雑さ、特に人口減少や少子高齢化に対して、経済的繁栄と地域全体でウェルビーイングの両者を実現する視点の重要性をあげました。また、環境負荷の低減やサーキュラーエコノミー(循環経済)の導入についても言及し、Local to Localの可能性を検討しつつ、これを地域創生にどう適用するかが今後の課題になるとの指摘がありました。
 田中は、メゾレベルの見方から、山梨のワインクラスターの事例を通じて、地域のアイデンティティを活かした産業のアップグレードの重要性について論じました。特に、地域産業の付加価値を高める手段としてオーガニックワインの推進活動に注目し、この付加価値化は将来のニーズを見据えていく上でも大切で、その将来のニーズを満たす地域の農業と産業の活性化がSDGsに貢献する取り組みになり、地域と企業がどのように変革していけるのかが重要との指摘がありました。
 陶山は、ミクロレベルから岡山県の家具メーカーの事例をあげ、地域創生には企業が地域のアイデンティティの形成に貢献しなければならないという観点をふまえて、従来のマーケティングやビジネスの考え方に対して、SDGsやサステナビリティ、ESGといった新しいテーマに沿って、過去や現在だけでなく、未来のライフスタイルやニーズ、さらに経済やマーケットの動向も考慮に入れ、時空を超えた視点をどのようにマーケティングやビジネスに取り入れていくかが大きな課題であるとその重要性を強調しました。
 
【研究会を終えて】
 対談を通して、地域創生とSDGsの達成には地域資源を活用した持続可能な発展を目指すと同時に、企業の社会的責任や新しいマーケティングアプローチを取り入れることが重要であることが共通認識となりました。地域創生においては、ウェルビーイング、地域アイデンティティ、産業クラスター、デザイン経営などをどう融合させていくかが課題となります。
 地域創生とSDGsの達成には、地域資源を活用した持続可能な発展を目指すと同時に、企業の社会的責任や新しいマーケティング手法を取り入れることが重要であること、今後、企業と地域がどのように協力し、新しい価値を創出していくかが地域創生の成否を分ける分岐点となり、本研究においては、ケースごとにその特性を捉えてみていくことが確認されました。
 本研究会では、研究成果として2025年秋出版を目指して研究メンバー全員で執筆しています。引き続き本研究会に関心を寄せて頂き、ご参加いただければと思います。本研究会にご参加いただいた皆様ありがとうございました。
 
集合写真
 
(文責:山口 夕妃子)

 
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