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研究報告会レポート

第4回ブランドマネージャー制度研究報告会レポート「マーケティング部門を取り巻く部門間の対立と調整」

第4回ブランドマネージャー制度研究報告会(三都市カンファレンス:福岡会場) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:マーケティング部門を取り巻く部門間の対立と調整
 

  1. マーケティング部門を取り巻く部門間の対立と調整
    大原 亨(東洋大学 経営学部 准教授)
    山下 勝(青山学院大学 経営学部 教授)
    久保田 進彦(青山学院大学 経営学部 教授)
  2. フロアとのディスカッション
    ファシリテーター:大原 亨(同上)・山下 勝(同上)・久保田 進彦(同上)

 
日 程:2025年3月8日(土)12:10-13:20
場 所:福岡大学およびZoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 ブランドマネージャー制度研究会の第4回は、これまでの”実務家に聞く”形式から趣を変えて、定量調査の報告を行った。当研究会では、日本の企業組織におけるブランドマネージャー制度の実態解明と、その有効機能のための組織的要因の解明を目的としている。
 
1. 研究の背景と目的
 これまで本研究会では、ブランドマネジメントに精通した実務家へのインタビューとデータ分析に取り組んできた。この定性調査から日本企業のブランドマネージャー制度の様相がある程度明らかになったことから、2024年度からは定量調査も開始した。この定量調査は、新たなデータに基づく実態解明と、これまでの定性的発見の検証を目的としている。今回はこの定量調査の内容と分析結果を報告した。
 
報告の様子 報告の様子 報告の様子
報告の様子
 
2. 定性調査から得られた知見と検証の枠組み
 これまでに、定性調査からは主に以下の知見が得られている。
(1)マーケティング部門の自律性低下は好ましい結果を得られない
(2)他部門からの干渉は活動を阻害する
 
 これらを検証するため、以下の3つの視点を設定した。
・日本的経営が部門間交流に影響する
・コミュニケーションが干渉を調整する
・組織風土が人間関係を形成する
 
 以上から、本研究では「マーケティング部門の自律性とパフォーマンスの関係」「自律性を高める要素」「社風や組織文化の影響」を研究課題とした。
 
3. 調査方法と分析結果
 日本企業のマーケティング部門所属者478名を対象に調査を実施し、390名の有効回答を得た。分析の結果、自律状態は「自律状態」と「干渉状態」の2因子構造であることが判明し、日本的経営も終身雇用・年功序列・人事異動の3変数として扱うこととした。
 

 
 主な発見は以下の通りである:
自律状態と干渉状態
・他部門から干渉されながらも全体的に業務を進められるケースが存在
・典型的な日本的経営下での部門間干渉が、客観的には売上など正の効果をもたらす可能性
 
部門間コミュニケーション
・「協調行動」(≒公式コミュニケーション)は部門間の敬意ある関係であり、自律を強め干渉を弱める
・「親和的交流」(≒非公式コミュニケーション)は担当者間の親密な関係であり、自律と干渉の両方を強める
 
日本的経営の影響
・終身雇用は失敗を恐れないチャレンジを促進し、パフォーマンスを高める。他方で、長期的人間関係の中で「親和的交流」と組み合わさると、プロフェッショナル的な協調については、情緒的関係に足を引っ張られることで自律性が損なわれやすいという点で自律を弱める
・人事異動は「言いたいことを言える親しい人」を他部門に増やし、干渉を強める
 
4. 結論
 本研究の暫定的結論は以下の4点にまとめられる。
(1)マーケティング部門の自律状態はパフォーマンスを高める
(2)「年功序列のみ」を採用する企業はドライな組織文化に通じる
(3)「終身雇用のみ」を採用する企業はプロフェッショナリズムを弱める傾向がある
(4)日本的経営が試行錯誤段階にある企業ではパフォーマンスが一時的に低下する
 
 本報告後、会場の参加者およびオンライン参加者との活発なディスカッションが行われ、実務経験からの指摘や今後の研究展開に関する有益な示唆が得られた。
 
(文責:プロジェクトリーダー 大原 亨)

 
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