|
第6回AI×5G時代のビジネスモデル研究報告会レポート「商品・事業の開発におけるAI活用の課題と可能性」 |
第6回AI×5G時代のビジネスモデル研究報告会(三都市カンファレンス:東京会場) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:商品・事業の開発におけるAI活用の課題と可能性
報告者(敬称略):
- AIを活用したアイデアデータベースサービス「FUTURE STORE」の事例紹介
王 銘浩(SEEDER株式会社 取締役COO)
伊沢 勇作(SEEDER株式会社 FUTURE STORE プロダクトマネージャー) - パネルディスカッション
王 銘浩(同上)
伊沢 勇作(同上)
安岡 寛道(明星大学 経営学部 教授 / 中小企業診断士)
伊藤 智久(明星大学 経営学部 教授)
日 程:2025年3月8日(土)9:00-10:10
場 所:法政大学 市ケ谷キャンパスおよびZoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
AI×5G時代のビジネスモデル研究報告会の第6回目の報告会は、三都市カンファレンスの東京メイン会場である法政大学の市ヶ谷キャンパスにて開催し、数多くの方々にご参加を頂きました。
報告会では、まず伊藤氏からAI×5G時代のビジネスモデル研究会の概要とこれまでの活動について説明されました。
続いて、王氏および伊沢氏から「AIを活用したアイデアデータベースサービス「FUTURE STORE」の事例紹介」と題して講演が行われました。まず、商品開発の現場における課題として、「商品企画の予算の縮小傾向」「新商品の開発スピードの加速」「商品開発経験者の圧倒的な不足」という3つがあげられました。その結果、企画以上に重要な受容性の検証に労力をかけることができないことについて指摘しました。

王氏および伊沢氏の講演資料の一部
続いて、王氏と伊沢氏は、商品開発プロセスにおける生成AIの活用における課題について指摘しました。商品開発の現場における課題を解決するために、生成AIが活用されていますが、現状では商品開発における明確なLLMの手法が確立されておらず、全世界のユーザーがブラックボックス状態であり、手探りで精度を高めていることを指摘しました。その結果、商品開発担当者は、LLMが理想とする回答を出してくれない上、効率的なプロンプト構築を学ぶことに対して「余計な業務が増えた」と感じるケースがあるとのことです。つまり、創造的なアウトプットが必要とされる商品企画業務に、生成AIを導入しようとしても余分な時間も工数が発生してしまっています。
生成AIの活用における課題解決のために、王氏と伊沢氏は発想の転換を提案しました。顧客が便利に扱える生成AIサービスの開発を進めるのではなく、顧客が求めるような生成AIの生成結果を提供するDaaS(Data as a Service)を提案しました。具体的には、SEEDER株式会社が10年近く培ってきた知見と生成AIを掛け合わせ、商品開発のプロセスを効率化できる商品アイデア提供データプラットフォームである「Future Store」について説明しました。

王氏および伊沢氏の講演資料の一部

王氏および伊沢氏の講演資料の一部
王氏および伊沢氏の講演後には、安岡氏と伊藤氏を交えパネルディスカッションを行い、商品・事業の開発におけるAI活用の課題と可能性について理解を深めました。
質疑応答では、参加者から次のような質問がありました。「提案されたDaaSでは、自社が保有している技術やデータをどのように活用できるか」「商品開発担当者に求められるスキルは、今後どのように変容するか」「受容性の検証や実装の段階におけるAI活用には、どのような可能性があるか」「提案したDaaSをAIエージェントとして実装するときは、どのような課題や可能性があるか」「顧客ニーズ等のインプットデータをどのように獲得し活用するか」「生成AIのアウトプットに関する知的財産権についてどのように扱うべきか」など、数多くの質問を頂き、それぞれに丁寧な回答を頂きました。
生成AIという急激に変化している分野のディスカッションであり、参加者も非常に白熱していました。商品・事業の開発におけるAI活用の課題と可能性について理解を深められる大変刺激的なセッションでした。
(文責:伊藤 智久)

