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第15回マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会レポート「知財はマーケティングの最強ツールとなりうるのか × サントリーの知財活動」 |
第15回マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会(複都市カンファレンス:東京会場)> 研究会の詳細はこちら
テーマ:知財はマーケティングの最強ツールとなりうるのか × サントリーの知財活動
- 知財はマーケティングの最強ツールとなりうるのか
杉光 一成(KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)イノベーションマネジメント研究科 教授) - サントリーの知財活動
宮武 正彦(サントリーホールディングス株式会社 知的財産部 部長 兼 サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社 企画推進部 部長) - 報告者、企画運営メンバー及び参加者によるディスカッション
日 程:2026年2月28日(土)14:00-15:20
場 所:法政大学 市ケ谷キャンパスおよびZoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
リーダーの杉光からは、マーケティング活動と知財活動ではいずれも「差別化」を中核的な価値にしている点で共通していることを紹介し、マーケティングでは競合と異なる価値を打ち出すこと、知財では既存のものと異なる技術やデザインを権利化することが求められているが、いずれも大きく重なるものである点を解説しました。
また、マーケティング環境分析におけるPEST分析におけるテクノロジー要因(T)で、特許情報を活用する重要性が紹介されました。さらに、特許は、ある「課題」の解決手段であるため、特許文献には、現時点でのその企業の「課題」(ニーズ)が記載されている点でも有効であることが強調されました。
さらには、特許はその技術の「世界初」「唯一」といった広告表現の裏付けにもなり、差別化の公的なエビデンスとしてプロモーションにも貢献しうるという視点を提供しました。
続いて、宮武氏からは、サントリーの歴史や企業理念、「やってみなはれ」に象徴されるフロンティア精神を踏まえた知財活動の実践が紹介されました。サントリーは、伊右衛門、BOSSなど、多くのブランドを通じて生活文化そのものの提案を行ってきています。
報告では、これらのブランドにおいて、「ものづくり」(中味・技術)、「ものがたり」(ブランドストーリー)、「ことづくり」(飲用シーンや体験)を組み合わせ、その価値を特許・意匠・商標などの知財で支えている点が具体的に示されました。また、自販機を活用した新たなサービスなど、ビジネスモデル変革の場面でも知財が重要な役割を果たしていることが紹介されました。
全体を通じた示唆
2つの報告を通じて、知財を単なる防衛手段としてではなく、差別化の源泉やブランド価値の裏付けとして、マーケティングと一体で設計していく重要性が共有されたと言えます。理論研究とサントリーの具体的実践が並ぶことで、「知財はマーケティングの最強ツールとなりうるのか」という問いに対し、「使い方次第で、十分にその可能性がある」という方向性が示された場となりました。

