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研究報告会レポート

第22回ソロモン流消費者行動分析研究報告会レポート「人文学が拓くマーケティング研究の新しい地平」

第22回ソロモン流消費者行動分析研究報告会(複都市カンファレンス:東京会場)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:人文学が拓くマーケティング研究の新しい地平
報告者:松井 剛(一橋大学 経営管理研究科 教授)
    酒井 健(一橋大学 経営管理研究科 准教授 / 東北大学 経済学研究科 准教授)
    三原 龍太郎(慶應義塾大学 経済学部 准教授)
日 程:2026年2月28日(土)15:30-16:50
場 所:法政大学 市ケ谷キャンパスおよびZoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 2026年2月28日、法政大学市ヶ谷キャンパスおよびZoomにて、第22回ソロモン流消費者行動分析研究会(複都市カンファレンス)「人文学が拓くマーケティング研究の新しい地平」を開催しました。
 
 本研究会では、データサイエンスや計算社会科学の進展により、マーケティング研究の科学化が進む一方で、歴史学や文化人類学などの人文学的アプローチが、消費文化や商業文化に潜む意味生成のプロセスを捉える上で重要な視座を提供することの意義について検討しました。冒頭の解題では、定量的な実証研究だけでは十分に把握しにくい、人間、社会、文化における意味の構造を読み解くことが、マーケティング研究に新たな可能性を開くという問題意識が示されました。
 
酒井健氏 第1報告では、酒井健氏(一橋大学・東北大学)より「プレミアム医療サービスの民主化:日本におけるAMHTSの再解釈」と題する報告が行われました。AMHTSは、複数の健康診断項目を自動化し、短時間で一括実施する技術ですが、米国では癌対策を重視する医療政策への転換や医療の非人間化への懸念、科学的根拠への疑問などから衰退していきました。これに対して日本では、AMHTSという難解な名称ではなく、「3時間ドック」や「日帰りドック」といった分かりやすい名称のもとで、人間ドックの簡易版・低価格版として再解釈されました。報告では、医療技術の普及が公的保険制度や技術的性能だけで説明されるのではなく、既存の高級医療サービスと結びつける語りによって社会的信頼が形成されることが示されました。
 
三原龍太郎氏 第2報告では、三原龍太郎氏(慶應義塾大学)より「『亜魂和才アニメ』の台頭:日本とアジアのアニメ新時代に向けて」と題する報告が行われました。三原氏は、アジア地域の下請脱却・自立化と、アニメ絵の世界規模でのノーマライゼーションを背景として、アジアの物語をアニメというフォーマットで語るアニメ作品がつくられ始めている動向を「亜魂和才アニメ」の台頭として捉えました。中国、インド、サウディアラビアなどの事例を通じて、アニメがもはや単純に「日本的なもの」としてだけでは理解できない段階に入っていることが論じられました。また、アニメという表現形式が、各地域の歴史、宗教、民話、ナショナル・アイデンティティなどと結びつき、新たな文化的・産業的実践を生み出していることが示されました。
 
パネル討議の様子 パネル討議と質疑では、フロアからのコメントも交えながら、歴史資料の読解、フィールドワーク、インタビュー、概念形成といった人文学的研究方法が、マーケティング現象の理解にどのように貢献しうるのかについて議論が交わされました。今回の研究会は、消費者行動研究やマーケティング研究において、定量的に表現しやすい現象のみならず、言葉、物語、カテゴリー、文化的意味に注目することの重要性を改めて確認する機会となりました。

 
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