生活世界中心のCX理解研究会 |
【研究目的】
マーケティングにおいて、顧客経験(CX)への関心は衰えることがない。近年は、消費者研究とサービス・ドミナント・ロジックの影響により、顧客経験をマネジリアルな視点というよりも、現象学的に、すなわち、個々の顧客の「生活世界」に埋め込まれたものとして、一人称的視点からとらえる研究にも注目が集まっている(Becker & Jaakkola, 2020)。しかし、そうした研究では、方法論的整理や実務への架橋が十分行われているとはいいがたい。
そこで、本研究の目的は、生活世界における経験を扱う質的心理学を応用することで、生活世界を中心として顧客経験を理解する方法を理論的・実務的見地から検討することである。
【研究方法および研究計画】
本研究では、定期的に研究報告会を開催しながら、以下3点に取り組む。
- 質的心理学がもたらす知見の整理
質的心理学のさまざまな視座や研究方法が顧客の生活世界と経験の解明に何をもたらしうるかを検討する。研究報告会に専門家を招き、参加者とともに議論する。 - 顧客経験理解の実践
時間とプロセスの観点から人間の経験を描くTEA(複線径路等至性アプローチ)という研究方法を基礎に据えつつ、1で得られた知見を取り入れ、多様な顧客経験の実相を明らかにする。また、研究報告会参加者との意見交換を通じ、事業、マーケティングへの示唆を考察する。なお、開かれた研究会として、参加者による実践事例の共有も行う。 - 実務向け定性調査方法の体系化と発信
1と2にもとづき、顧客経験の深い理解、ひいては顧客経験デザインの助けとなる包括的な定性調査方法を体系化し、発信する。いわば、本研究の成果の社会実装を図る。
【研究期間】
2023年4月〜2024年3月
【リーダー】
小菅 竜介 立命館大学大学院 経営管理研究科 教授
【企画運営メンバー】
安田 裕子 立命館大学 総合心理学部 教授
杉浦 愛 大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
高橋 歩 LINEヤフー株式会社 ローカル・UGCカンパニー
徳永 貴超 メルヴィータ・ジャポン株式会社 EC/CRM Manager
【研究報告会の案内】
【研究報告会レポート】
第1回 2023年9月5日(大阪・オンライン)
>「文化心理学とTEAによる経験の理解」
サトウタツヤ(立命館大学 総合心理学部 教授・学部長)・杉浦愛(大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部)