学会の歩き方(講演録)
サロン03

マーケティングサロンに参加しよう!サロンの活用法とは?

 

 
*内容は講演当時(2023年7月12日)の情報を含んでおります。その旨、ご了承ください。
 

(3)サロン委員が語るサロンの魅力とは?

 
【報告者プロフィール】

佐藤 圭一(サロン委員 / 凸版印刷株式会社 宣伝部長 ブランディング・ディレクター)

佐藤圭一 〈プロフィール〉
広告会社の営業職を経て、2006年に凸版印刷株式会社に入社。以来、ブランドコンサルティング部門にて、数多くのコーポレートブランディングプロジェクトに携わる。2017年から本社広報本部に異動し、2021年より現職。
著書に『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』(講談社)など。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(嶋口充輝研究室)。日本マーケティング学会では、サロン委員として「嶋口内田研究会」を担当。

 

八尾 あすか(サロン委員 / アリナミン製薬株式会社マーケティング部)

八尾あすか 〈プロフィール〉
2010年武田薬品工業(株)入社。医療用医薬品のMRを経て、コンシューマー事業のマーケティング部へ異動。その後事業部の分社化・株式譲渡に伴い、アリナミン製薬株式会社に転籍。現在はマーケティング部ベンザグループにて、ベンザブロックブランドのブランドマネジメント業務を担当。2015年3月早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(内田ゼミ)。日本マーケティング学会では、サロン委員として「嶋口内田研究会」を担当。

 
 

(3) – 1 マーケティングサロンとの関わり

 
 佐藤圭一です。よろしくお願いします。私と八尾さんからは、サロン委員が語るサロンの魅力と、私なりのサロンとのこれまでの関わりを含めて紹介します。
 
 最初は私のプロフィールを説明します。もともと広告会社にいて、ビジネススクールに行った後、2006年に凸版印刷株式会社に入社しました。凸版印刷株式会社の中のブランドコンサルティングの部門が立ち上がったときに入社して、さまざまな企業の理念、ビジョンをつくる手伝いや、組織風土改革、広告、広報の支援を行い、ブランドを起点に企業経営、コミュニケーション両方からのコンサルティングを10年ほど行ってきました。
 
 2017年からは、お客さまのブランディングではなく自社のブランディングを行うことになり、本社に異動しました。凸版印刷株式会社のブランド再構築、リ・ブランディングを取り組んでいます。現在は宣伝部長としてCM『TOPPA!!!TOPPAN』シリーズ、10月に凸版印刷株式会社は120年以上の歴史の後、TOPPANホールディングス株式会社、TOPPAN株式会社の形で、印刷をなくして社名変更をして、ホールディングス体制としてグループ経営にさらにかじを切る、そのようなブランディングを含めて行っています。直近では、Purpose、Valuesとして、グループ全体の理念などの策定を行ってきました。
 
 以下、マーケティング学会、マーケティングサロンとの関わりについてです。
 

 
 2006年に慶應ビジネススクールという、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を卒業しています。そこで嶋口ゼミにいました。当時、嶋口研究会では月に1回、誰かを講師に呼び勉強会を行っていました。嶋口研究室のメンバーは、代々事務局を行っており、まさに嶋口研究会の事務局として運営していました。
 

 
 大学院卒業後、仕事に戻った後も嶋口研究会は続いていました。その後、先生との関係や新しい情報を得るために、年に3、4回ほど出席していました。ただ嶋口先生が慶應義塾大学を退官後は、早稲田ビジネススクールの内田先生のゼミ生が事務局を引き継ぎ、嶋口・内田研究会となり、その後に続いています。マーケティング学会には、2012年に設立と同時に入会しています。調べると2014年からマーケティングサロン委員でした。
 
 先ほどの嶋口・内田研究会が、2018年にマーケティングサロンに統合されて、そのままマーケティングサロンの嶋口・内田研究会担当として、内田ゼミのメンバーと私で運営しています。現在は、マーケティング学会常任理事として、企画運営委員、サロン委員の両方を行っています。先ほど少し話した嶋口・内田研究会は、慶應ビジネススクール、KBSの嶋口ゼミのOBである内田先生が幹事として、当時は嶋口ゼミのOBを中心に、卒業後も勉強を行う場を持とうと、1984年から二百数十回続いていたようです。そちらが2018年にマーケティングサロンに統合されて、現在に続いています。
 
 私が2014年からサロン委員になり、いくつか担当してきました。最初に行ったのは2015年、山本直人さんです。元株式会社博報堂にいたコンサルタントでした。あとは、当時シャトルロックジャパン株式会社の『企業は、ユーザーコンテンツとどう付き合っていくのか?』というテーマで山田智恵さん、松山さんを呼びました。2016年は八尾さんと一緒に、デザイン思考の話で野々村さん、青山学院大学の小野先生、電通コピーライターの梅田悟司さんを招いて実施しています。それ以外にも、2019年に、国境なき医師団日本ファンドレイジング部ディレクターの吉田さん、本大賞で内田先生、入山先生の『右脳思考』受賞記念のトークイベントを行いました。直近では、『「イノベーションの競争戦略」を読み解く』として、内田先生をはじめ、内田ゼミの面々を集めたサロンも開催していました。
 
 サロン委員としては、年に1、2回担当しています。それのみではなく、自分でも登壇することもしていました。2017年に自分の本を出版した際には、自分の担当の回に自分で出るという変な話ですが、登壇しました。2021年は『実務家に聴くマーケターのキャリア形成』として、こちらでも出て、今回もそうかもしれませんが、自ら話をする機会をいただいています。
 

(3) – 2 マーケティングサロンの魅力

 
 そのような形で2012年以降、約10年にわたり日本マーケティング学会、マーケティングサロンと付き合ってきました。私自身が考えるマーケティングサロンの魅力を考えました。今回、清原さん、町田さんの話があり、かなり近い部分はありますが、三つ挙げています。
 

 
 一つは、視野を広げることです。マーケティングの世界ではありますが、さまざまな人がゲストの講師として招かれます。特に現在仕事をしていると、毎日仕事に追われて忙しく、自分の仕事で目いっぱいになります。そうすると視野が狭くなり、自分の目の前の仕事でいっぱいいっぱいになってしまいます。しかし半強制的にサロンに行こうと考えました。例えば、自分があまり興味のないテーマでも、行くことにより違う分野、テーマ、業界の情報の話を聞くことができます。強制的にそのようなきっかけをつくることで、より視野が広がり、何か考えるきっかけをつくり、自分の成長につながる気がして、参加しようと考えていました。委員としてもそうですが、普通に聞きに行く側としても参加しています。
 
 二つ目は、刺激を受けることです。先ほどの視野を広げると近いです。さまざまな人を招きますが、話をする人は、第一線で活躍している学者、実務家が多いです。そのような活躍している人の話を聞くと、自分は現在のままでは駄目、さらに頑張らなければいけない、まだ勉強が足りないなど、自分に喝を入れるきっかけを数カ月に一度つくれます。ただ仕事に追われて、週末はだらだら過ごしているのはまずいという気にさせてくれるきっかけになるのではないかと考えています。なので、視野を広げる、刺激を受けるという自分に喝を入れるために、あえて行こうと自ら決めて参加しています。
 
 三つ目は、人とつながることです。これまでの2人も話していましたが、登壇者、ゲスト、運営者であるサロン委員、参加している人と知り合うきっかけがあります。サロン時代は、100人、200人集まって行う会というよりは、少ないときは10人、20~30人程度で集まるため、ゲスト登壇者、講師との距離がとても近いです。通常、有名な人の講演に行き、講演後に並び、名刺交換をしていることがあります。そのような場ではきっかけはないかもしれませんが、マーケティングサロンでは、ゲストの人とじかに話をすることができます。最近ではオンラインが多かったかもしれませんが、終わった後に講師の人と一緒に飲みにいくこともできます。より密につながるきっかけになると思います。
 
 つながれたからどうだということは分かりません。そのような縁から自分の仕事、キャリア、将来に何かいい縁が生まれるかもしれないという、つながったから何かあるわけではありませんが、何かのチャンスになればいいかもしれませんし、単にその場が楽しければいいというところもあるかもしれません。そのように人と接して、つながり、先ほどのように視野を広げる、刺激を受けることにつながると思います。そのようなことがまさにサロンの魅力ではないかと考えています。私からは簡単ですが以上です。続いて、八尾さん、お願いします。
 

(3) – 3 マーケティングサロンとの関わり

 
 八尾です。どうぞよろしくお願いします。私は、2010年に武田薬品工業株式会社に入社して、新卒から医療用薬品のMRをしていました。その後、コンシューマー事業のマーケティング部に異動しましたが、事業部そのものが分社化、株式譲渡があり、会社名が変わりました。現在はアリナミン製薬株式会社に転籍して、マーケティング部ベンザグループで、ベンザブロックという総合感冒薬、かぜ薬のブランドマネジメントを担当しています。2015年3月に早稲田大学ビジネススクールの内田ゼミを卒業しています。
 
 私のキャリアとマーケティングサロンの関わりについてです。新卒で武田薬品工業株式会社に入社しましたが、入社面接のときから、将来的にはBtoCの部門に行き、自分で考えた新製品を世の中に出す仕事をしたいと話していました。ただマーケティング部門はかなり狭き門であり、当時、武田薬品工業株式会社が新卒でマーケティング部門の募集はしていませんでした。まずは間口が広いMRとして入社して、会社のノウハウを学びつつ、将来的には異動したいと考えていました。
 
 社会人3年目になると、このまま希望を出し続けていても、マーケティング部に異動するのはかなり狭き門だと気付き、このままでは駄目だと感じていました。早稲田大学ビジネススクールは、社会人歴3年が応募に必要でしたので、社会人4年目になる直前に応募して、社会人4年目から5年目にかけて、早稲田大学ビジネススクールの内田ゼミの門をたたきました。同時にゼミは10人前後いましたが、その中で、さまざまな担当をします。OB会の担当、イベントの担当など、分担していました。その中で私は、先ほど佐藤さんから紹介がありました、嶋口・内田研究会の運営を担当しました。
 
 2年間ビジネススクールに通い、卒業とほぼ同時期に、偶然、希望していたBtoC事業部のマーケティング部の社内公募がありました。応募し、無事合格して、晴れて念願のマーケティング部に異動がかないました。そのタイミングで、ゼミの担当としての嶋口・内田研究会の担当は終わりましたが、内田先生から紹介があり、当時はゼミの3人で嶋口・内田研究会の担当をしていたところ、そのまま3人ともサロン委員になり、その後サロン委員として関わっている形です。
 
 6年目にマーケティング部に異動して、その後、会社名が変わるなどしましたが、同じ事業部に所属して、現在14年目です。直近では、念願の新製品のコンセプトを考えるところから発売するところまで、1から10までのプロジェクトリーダーを担当して、新卒のときの希望がかないました。
 

(3) – 4 マーケティングサロンの魅力

 
 私が考えるサロンの魅力を3点挙げました。
 

 
 1点目は、最新の話題に触れる仕組みづくりができることです。町田さん、佐藤さんの話でも、本当に社会人は忙しいという話がありました。マーケッターが担当する領域は、最近とても細分化されています。細分化された領域の最新情報に、自分からDX、統計、プランニングを学ぼうと、全部の領域を能動的にキャッチアップしていくことは不可能に近いのではないかと感じます。サロンに関しては、定期的に開催されますし、実務としてマーケティングに携わっている人、学会、アカデミックとしてマーケティングの最先端にいる人がそのときどきに応じて、自身が聞きたいと考える人をイベントに招いて開催しています。旬な人、第一線で活躍している人が登壇します。そちらに参加するだけで、とても広い範囲の旬な内容を吸収できることは、サロン委員に定期的に参加するメリットだと考えています。
 
 2点目は、仕事にも直結します。実際にこれまで私もサロンの企画をする側、参加する側両方で多数参加しています。そこで参加したサロンの知識、人脈を仕事で活用したこともありました。例えば、過去に私たちの担当として実施した、コピーライターの梅田さんの回で、コピーの開発の仕方、考え方など、梅田さんの話に感銘を受けました。
 
 同じ頃にベンザブロックの新製品のネーミングを考える機会がありました。医薬品のネーミングは、小林製薬株式会社以外の会社に関しては、例えば、ベンザブロックS、ベンザブロックLのように、とても記号的なことが多いです。しかし、そのようなネーミングでは、ユーザーにコンセプトが全く伝わらないことがあります。そこで梅田さんのサロンを聞き、感銘を受けて、このような開発の仕方をすればいいのではないかと、自分たちでS、Lなど考えて、ネーミング会社にお願いするのではなく、コピーライターの知恵を借りたほうがいいのではないかと会社に提案して、梅田さんではありませんが、コピーライターを起用して、製品のネーミングを考えました。
 
 他の例では、私はベンザブロックTwitter公式アカウントの担当をしています。Twitterは分かるが、Instagram、TikTokはどうなのかという話を聞かれた際、「Twitterは業務で行っていますので詳しいですが、そちらは知りません」では、上司の信頼を失ってしまうかもしれません。そのときにTikTok For Business Japanマーケティングディレクターの鈴木さんを招いたサロンを企画した回があり、そこで得た知識を活用し、そのような質問を振られた際に答えることができた事例もありました。そのようにサロンで得た知識を基に新しい提案を行うことができました。また、ふいに振られたときに意見を出すことができる引き出しの多さは、会社での信頼にもつながりますし、自分の強みの確立にもつながると思います。
 
 実際に会社の業績評価のときに、自分で能動的に、継続的に能力開発をしているかというコンピテンシーが、業績評価の項目の一つにあります。私は、毎回マーケティング学会に所属し、サロン委員を行っていると記載しています。そのようにマーケティングを継続的に勉強していると、会社に対してのアピールポイントにもなっていると考えています。
 
 3点目としては、とてもアットホームなところです。全く堅苦しい会ではなく、とても距離感が近く、質問も毎回上がります。ディスカッションの時間もありますので、人脈形成がしやすい会でもあります。また本当に格式張った形で行おうというのではなく、どのようにすれば皆が楽に参加できるのか、常々私たちも考えて、実験しながら行っている側面もあります。これからも進化していきますし、声を掛けてもらえると、今後何か生かせる部分もあるのではないかと感じます。気さくにサロン委員に話し掛けてもらうとありがたいです。
 
 本年、新しくサロン委員になった人も多数いますので、もしかすると自身が企画する側になり、この人に会いたいという人を招く機会もあるかもしれません。そのような機会があるイベント、講演会はなかなかありませんので、そこは魅力だと思います。

 
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