学会の歩き方(講演録)
リサプロ02

リサプロに参加しよう!リーダーに聞く、各研究会の特徴や、その活用法とは?

 

 
*内容は講演当時(2023年8月28日)の情報を含んでおります。その旨、ご了承ください。
 

(2)リサーチプロジェクトの紹介 ①デザイン思考研究会

 
鷲田 廣田先生にデザイン思考研究会についてお話ししてもらいます。廣田先生、よろしくお願いします。
 
廣田 どうもありがとうございます。
 デザイン思考研究会は現在、私を含めて6名で動いています。
 実務家でデザイン会社を経営されている方、あるいはデザイン調査会社を経営されている方、ビジネススクールで教えている方、私のように学部の学生の皆さんに教えているなど、多様なメンバーです。
 

 

(2) – 1 研究テーマ

 
廣田 最初にデザイン思考研究会の主な活動内容について話していきたいと思います。
 
 まず、テーマとしては、アカデミックな学会ですので、デザイン思考に関する学術研究を1つ目の柱として行っています。学術研究の中には、組織論的な研究でデザインにアプローチする研究もあるので、そういうゲスト、研究者をお呼びして、研究の潮流をお話ししてもらうものがあります。あるいは、認知科学研究として、認知科学分野の先生がたをお呼びしています。また、デザイン研究をしている方もいるので、今年はそういった方を1人、お呼びしたいと考えています。
 
 2つ目の柱として、デザイン思考分野の活用があります。
 

 
廣田 デザイン思考は特に実務で活用するケースが非常に多いので、どういう分野でどのように活用しているのかを調べます。当然、市場創造につながらないと動かしている意味がないので、エクセレントな事例の調査報告を行っています。また、実際に企業の中でどれぐらい導入されているのか、導入の障害、活用の優位点にはどのようなものがあるのか、われわれ自身が実際に調査をするという活動も行っています。
 
 3つ目の柱として、ビジネス分野において、デザイン教育はどのように行われているかについて、調査、報告をしています。先ほど、ビジネススクールのメンバーが研究会に入っていると述べましたが、ビジネススクールの中での位置付けについて調査、報告を行いっています。また、海外でデザイン教育は非常にクローズアップされていますが、日本と海外での相違点を調査、報告を行っています。
 

(2) – 2 特徴・楽しさ

 
廣田 加えて、こういったリサーチプロジェクトには少ないかもしれませんが、実際にデザイン思考を体験してもらうワークショップを開催しています。
 
 デザイン思考体験ワークの開催や、デザイン思考のツールを使った実際のビジネスプランの作成るなど行います。そして、事業企画を作ったケースを持ち寄り、参加者のメンバーと、われわれで解剖会議のようなものを行っています。
 
鷲田 解剖会議とは、どのようなものですか。
 
廣田 解剖会議とはデザイン思考あるいはマーケティングの手法を使って、実際にビジネスプランを作成し、プランコンテストに出して終了、あるいは研修で作成して終了となります。そして、われわれの研究会の中で、作成したものの組み立てをどのように行ったか、プレゼンテーションの中の表に出ない話をしてもらいます。特にデザイン思考は、試行錯誤のプロセスが非常に大事で、その部分を話してもらって、知見を共有するような場を設定しています。これは非常にユニークだと思います。
 
鷲田 ありがとうございます。既に研究会の特徴や楽しさが伝わってきますが、もう少し、具体的な特徴や楽しさを話してもらえたらうれしいですが、いかがですか。
 

(2) – 3 研究会やシンポジウムなどの活動状況

 
廣田 どのような活動をしているか、もう少し具体的に話をしていきます。
 
 例えば学術研究では組織論的な研究を行っている立場で、デザイン研究をしている京都産業大学の森永先生をお呼びして、デザイン思考とアート思考の意味とイノベーションについて議論しました。特にビジネスの方から、この三つはどう違うのかという質問がよくあります。こういった点を森永先生は著書にまとめられていますので、その違いをわれわれのメンバーと共有して議論を行いました。
 
 他にも、デザイン思考には、そもそもクリエイティブな側面があるので、何かを生み出してきます。それを認知科学の立場から、創造性の研究を行っている阿部先生をお呼びして、創造性とは何かを共有する研究会を開催しました。先ほど述べた、デザイン思考の分野別活用、調査の話についてです。特許庁の外山さんをお呼びして、2回ほど特許庁でのデザイン系プログラムの活用について教えてもらい、企業のメンバーや参加者の皆さんと質疑応答を行いました。
 
 株式会社日立製作所のデザイン部門のリーダー格である丸山さんに来てもらって、ビジネス折り紙という現状を可視化しながら、体験をデザインする手法について教えてもらい、さらにわれわれも体験する研究会を行いました。
 
 また、ネスレ日本株式会社では、デザイン思考とは言っていませんが、全員参加型のイノベーションアワードという、新しい新規事業を生み出すような提案制度を実施しています。その仕組みについてお話をしてもらったこともありました。
 
 デザイン思考に関連する調査としては、質問票を設計して、企業の中にデザイン思考がどの程度導入されているか、問題はどんな点なのかといった実態調査をわれわれのメンバーの中で行いました。その調査の結果報告を行って、参加メンバーからさまざまなご意見をもらいました。
 
鷲田 どの程度、導入されていますか。
 
廣田 実際にデザイン思考を導入されているのは、約300サンプルの調査で2割程度です。定着している、成果を実感できているという方は、約2パーセントでした。導入したものの、実際に効果が限定的、なかなか定着していないという所がありました。あとは様子を見ている、あるいは企業の経営企画部やマーケティング部の方がセミナーに情報収集に来ているというレベルでした。鷲田先生は、どのように感じていますか。
 
鷲田 マーケティング部署の方に行った調査ですか。
 
廣田 そうです。マーケティング系の協会などに依頼しました。あとはメンバーの中のクライアントさんですから、ほとんどマーケティング部門の調査です。
 
鷲田 興味深いです。ありがとうございます。
 
廣田 次に移ります。
 
 もう一つは教育です。当然、デザイン思考は、本を読んですぐできるものでもないので、トレーニングの必要があります。トレーニングでは、マインドセット、スキルセットという二つを習得します。新たなマインドセットとスキルセットを習得していくには、ツールを理解していかなければなりません。日本の大学あるいは大学院、ビジネススクールでどの程度行っているかというと、まだまだ少ないです。うちのメンバーの中で、黒岩先生と吉橋先生が青山学院大学のビジネススクールで、デザイン思考を講義科目として導入しています。小川亨さんは明治大学の大学院でデザイン思考プログラムを運営しています。ただし、数あるビジネススクールの科目の中で、科目数は1科目程度しか動いていないので、他のいわゆる一般的な経営学の科目あるいはマーケティングの科目との連動性にはまだ課題があります。
 
 スタンフォード大学のデザイン・プログラムになると、かなり開講科目も多く、各科目も連動性が高いです。このように体系的に完成しているところと、かなり大きな違いがあるのが現状です。教育の体系についても、研究会の中のプログラムとして走らせています。もう少し、ゲストをお呼びしながら、研究を深めていきたいと思います。
 
鷲田 これはビジネススクールにかなりフォーカスしていますか。それとも、学部生の方にもフォーカスしていますか。
 
廣田 このようなデザイン・プログラムは今のところは、美術系の大学が中心ですが近畿大学や一橋大学では、学部の中に入れており、徐々に増えてくると思います。東京工業大学の齊藤先生も実際に取り組まれています。ただし、まだビジネススクールが先行している印象です。
 
 それから、先ほど少しご紹介しました体験ワークショップが面白いかと思います。デザイン思考も話や講演を聞く、本を読んで終わりでは、できるまでに至らないので、実際に体験してもらいたいです。デザイン思考自体を理解してもらおうと、株式会社プラグの小川さんが研修を行っているので、彼らのスタッフと一緒にデザイン思考の体験ワークを日本マーケティング学会の会員の皆さんに体験してもらうことを行っています。その中で、うまくできる部分、そうでない部分を共有しながら、解決方法を探っていっています。その一環で、先ほど少しご紹介しました解剖会議で、教えてもその通りに理解してもらえないのはどういった部分なのかを共有することができます。インタラクティブなセッションとして、こういうことを設定しています。
 
鷲田 対面のワークショップですか。それとも、リモートのワークショップですか。
 
廣田 対面です。コロナ前に2回実施しました。コロナ明けにもビジネス折り紙のワークショップを対面で実施しました。オンラインですと、反応も見にくい部分があるので、対面のほうがいいという気がしています。オンラインですと、反応も見にくい部分があるので、対面のほうがいいという気がしています。
 

 
廣田 これが体験ワークショップです。日経デザインと株式会社プラグのご協力で、パーソナルトレーニングの市場創造というテーマで行いました。われわれが事前にパーソナルトレーニングの現場を取材して、観察調査を行いました。本当はこちらに入ってもらったらよかったのですが、なかなかその時間がとれなかったので、写真データやテキストデータをメンバーに共有、ローディングして、アイデアを出してもらいました。アイデアをブラッシュアップした場合、プロトタイプを使ってブラッシュアップした場合に、どのような違いがあるかを体験してもらうワークショップです。
 
鷲田 面白いです。ありがとうございます。
 
廣田 ぜひ、会員の皆さんも参加してもらえるとうれしいです。
 
鷲田 参加できるんですか。この後、少し説明をお願いします。
 
廣田 参加される方は日本マーケティング学会の会員になってもらうということが前提ですが、定期的にこういうワークショップや研究会を行っているので、申し込んでもらえたらと思います。定員があるので、意に沿えないこともありますが、基本的には早めに申し込めば参加できます。ぜひご参加してもらえたらと思います。
 
鷲田 最近の研究会やシンポジウムのご予定など、何かご案内できることがあったら教えてもらえたらうれしいです。
 
 今後は次のカンファレンスに向けて、企業担当者としてコニカミノルタ株式会社の方をお呼びして、組織導入の事例を話してもらう予定です。そして、現在調整中ですが、次はインフラ系の企業さんをお呼びして、お話を共有することを考えています。もう一つ、先ほどご紹介したビジネス折り紙は、前回は小規模で行ったのですが、もう少し大規模な形で株式会社日立製作所の丸山さんにご協力してもらって、体験してもらえる会を開催できたらと考えています。
 
鷲田 多摩美術大学さんがビジネス折り紙のキットを出しました。
 
廣田 そうです。確か2000円程度です。
 
鷲田 可愛いらしいものです。
 
廣田 よくできているものです。しっかりした紙を使っています。ただ、使い方に慣れが必要なので、回数を重ねることが大事です。紙を思ったより消費してしまうのが、悩ましい点です。
 
鷲田 ありがとうございます。新たに参加してみたいという方は、 日本マーケティング学会に問い合わせればよいでしょうか。
 
廣田 そうです。
 
鷲田 廣田先生につないでもらえるという感じでしょうか。
 
廣田 そうです。日本マーケティング学会のホームページでも逐次、研究会の開催ごとにご案内をしてもらえると思いますので、ぜひお問い合わせください。
 
鷲田 リアルでいろいろな会を開催するときは、都市はどこになりますか。東京ですか。大阪ですか。
 
廣田 ありがとうございます。実は、ワークショップの開催地は、私は近畿大学で大阪にいるのですが、対面の場合は東京開催です。株式会社プラグの小川さんのオフィスや青山学院大学のビジネススクールの教室をお借りして開催しています。近畿大学にもサテライトがあるので、場合によっては、そちらでの開催も考えています。
 
鷲田 分かりました。ありがとうございます。それでは、これでデザイン思考研究会のご紹介を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 
廣田 どうもありがとうございました。
 たくさんのご参加をお待ちしています。よろしくお願いします。
 
鷲田 デザイン思考研究会でした。廣田先生には、私も以前から非常にお世話になっています。良い研究会だと思います。ご興味のある方は、よろしくお願いします。

 
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