| リサプロに参加しよう!リーダーに聞く、各研究会の特徴や、その活用法とは? |
- (1)リサーチプロジェクトとは
- (2)リサーチプロジェクトの紹介 ①デザイン思考研究会
- (3)リサーチプロジェクトの紹介 ②アジア・マーケティング研究会
- (4)リサーチプロジェクトの紹介 ③ブランド&コミュニケーション研究会
*内容は講演当時(2023年8月28日)の情報を含んでおります。その旨、ご了承ください。
(2)リサーチプロジェクトの紹介 ②アジア・マーケティング研究会
鷲田 次は、アジア・マーケティング研究会です。
東洋大学の薗部先生に来てもらいましたので、ご紹介をお願いします。薗部先生、よろしくお願いします。
薗部 ありがとうございます。
鷲田 それでは、最初に研究会のテーマからご説明をお願いします。
薗部 承知しました。ただ今、ご紹介にあずかりました東洋大学の薗部です。本日は、リサーチプロジェクトの一つとして、アジア・マーケティング研究会の紹介をします。
(3) – 1 研究テーマ
薗部 研究テーマは、アジア地域における市場現象や消費者行動について、国や地域間の国際比較を行いながら多様な視点から考察を行うというものです。市場や消費者行動について、アジアというと広い範囲をカバーしています。
(3) – 2 特徴・楽しさ
薗部 先に特徴や楽しさをお話しします。

薗部 アジアといった場合、私も日本人でアジア人ということになります。北米、南米、ヨーロッパや中近東、アフリカなど、他の地域から日本を見たときに、アニメが有名でスタジオジブリがあるなど、いろいろな点があります。例えば日本と韓国は、ほぼ同じ場所にあって、非常に似ているといったように、言語の違いが分からない場合は、同じような国に見えているという一面もあるのではないかと考えています。もちろん、日本からヨーロッパを見たときも、各国は文化も違うはずですが、同じように見えてしまいます。日本と中国、韓国やアジアの他国は、文化や市場は違います。仮に同じ商品やサービスを提供した際にも、各国や地域での反応は違うと思います。
卑近な例かもしれませんが、お笑い芸人のとにかく明るい安村さんがイギリスのオーディション番組に出て、クイーンの音楽で踊ったり、フレディ・マーキュリーに扮したりと、イギリスにまつわるネタを披露しました。ただネタは本質的に変わりませんが、本人は、場合によっては日本よりも受けていたと言っていたような気がします。そのように、同じものを提供したとしても、エリアによって反応の違いがあり、そういう点に面白さを感じられるのではないかと認識しています。
コンテンツだけではなく、サービスや製品など、さまざまなものを取り扱います。 そして、アジア・マーケティング研究会では、理論・概念の整理も行いますし、マーケティング・リサーチもインタビューや調査など、さまざまな手法で行っています。多様な国家や文化が併存しているアジアにおける生産と消費の多元的な関係を捉えることを目指しています。
(3) – 3 研究会やシンポジウムなどの活動状況
薗部 2020年以降の活動状況を抜粋してご紹介します。
| 年月日 | 報告者 | 報告タイトル |
| 2020年 1月8日 |
Dr Monica Chien, The University of Queensland School of Business, Australia |
Mega-event Impacts and Overtourism |
| 2020年 2月21日 |
Dr Elaine Yang, Department of Tourism, Griffith University, Australia |
Women as Travellers: Opportunities, Challenges and Practices |
| 2020年 10月18日 |
金 春姫 氏(成城大学 経済学部 教授)・上原 渉 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授), 松永 統行 氏(国際社会経済研究所) | 多形化する社会とマーケティング |
| 2021年 1月26日 |
村木 智裕 氏(株式会社Intheory 代表取締役) | 地方の観光地と世界の観光客をつなぐ —デジタルプラットフォーム「TXJ」によるデスティネーション・マーケティング— |
| 2021年 3月13日 |
林 卓敏 氏(中山大学管理学院 教授)・東海林 寛朗 氏(DHL Marketing & Sales, 中国中山大学管理学院MBA在籍中) | 中国企業のグローバル戦略の理論と実践 |
*報告者の所属・肩書は当時のもの
薗部 オーストラリアから2人の研究者を招いたところから始まり、しばらくは観光に関するものが多かったと思います。他にも多形化する社会、中国企業のグローバル戦略といった話も入ってきました。中国企業のグローバル戦略に関しては、どのような国のイメージを付与するのか、例えば中国企業に日本のイメージを持たせるといった話を聞いたことがあります。また、サマンサタバサというブランドは、日本のブランドイメージを少し薄くしているといった話もあって、興味深かったです。
鷲田 ミニソーなど、日本のブランドのような雰囲気を持った中国の会社は確かにあります。
薗部 補足をありがとうございます。その通りです。
2022年以降は、多形化についてはその前から取り組んでいましたが、外国文化の消費、それから、コロナの話が出てきて、観光が復活してきている中、どのように観光振興を行っていけばいいのかを地域アイデンティティという観点で見たものもあります。
| 年月日 | 報告者 | 報告タイトル |
| 2022年 3月19日 |
金 春姫 氏(成城大学 経済学部 教授)・鎌田 裕美 氏(一橋大学 大学院経営管理研究科 准教授)・上原 渉 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授) | 外国文化の消費とマーケティング・リサーチ |
| 2022年 10月16日 |
松井 彩子 氏(武蔵野大学 経営学部 専任講師)・鴇田 彩夏 氏(目白大学 経営学部 専任講師)・上原 渉 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授) | 多形化する消費者行動 |
| 2023年 3月18日 |
鎌田 裕美 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授)・金 春姫 氏(成城大学 経済学部 教授)・上原 渉 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授) | コロナ後の観光振興と住民の地域アイデンティティ |
*報告者の所属・肩書は当時のもの
薗部 コロナ後の観光振興と住民の地域アイデンティティについて、もう少し深掘りして、どんなことを行ったかをお話ししたいと思います。
鷲田 今年の春に実施された活動ですか。
薗部 その通りです。まず、鎌田先生が発表したのは、コロナ禍で住民態度がどう変わったかということです。

薗部 観光に関わっている企業、食事や宿泊に携わっている方たちは観光に来てほしいと考えていますが、それと関係ない住民にとって、迷惑になってしまう場合もあります。住民態度の反発などとの折り合いをうまくつけなければならないという問題があります。地域アイデンティティを高め、魅力があるから来てくれる、その魅力は何なのかを知って誇りを持つなどといったことを住民と作っていくことが大事です。また、観光振興を進めることで、地域の人々にどのようなメリットがあるのかをきちんと伝えて、一緒に協力してもらうという関係を作ることも重要だという話がありました。
続いて、金先生は、住民の地域アイデンティティと文化変容について、ポップカルチャー・ツーリズムの視点から紐解いての報告でした。

薗部 ポップカルチャーのような文化コンテンツが消費者の文化変容に影響を及ぼしているけれども、そういった影響が観光と住民の地域アイデンティティとどう関係するのかというものを明らかにするという、研究報告でした。例えば、ポップカルチャー・ツーリズムという、いわゆる聖地巡礼の話がありました。
鷲田 アニメや映画のロケ地といった話ですか。
薗部 そういうことです。学生の皆さんも、好きなアニメがあって、モデルになった場所を訪れる人もいるのかもしれません。行く分には、アニメのグッズが売っているかもしれないし、楽しいです。しかし、そこに住んでいる人からすると、自分が好きなコンテンツなら別ですが、そうでない場合にはよく分からない人が来ると感じます。しかも作品が地域のイメージと違うように描かれていたり、場合によって悪く描かれていたりすると、そこに住んでいる人たちに違和感を与えてしまいます。その結果、ネガティブな反応をする住民も存在するというケースがあり得ます。
鷲田 例えば、江ノ電の駅で、スラムダンクが話題になって、外国人が数多く来てしまうという話があります。
薗部 そうです。もちろん、好きで来てくれているから、うれしい人もいるかもしれませんが、外国人の方たちのマナーが悪かったり、数多く来ることで江ノ電に乗りにくくなってしまったりすると迷惑が掛かります。
そういった地域アイデンティティに関するポップカルチャー・ツーリズムの問題点として、金先生が挙げていたのが、不正確である、あるいはネガティブな描写をしているという点です。こういう場合には、住民たちが眉をひそめてしまいます。また、ローカル不一致といって、住民たちが認識している地域と描かれた地域が違うと感じてしまうということもあるそうです。これについては、また後で出てきます。あとは、これは不正確というところと似ていますが、本物に見えない、真正性という問題点です。詳しくその地を知るからこそ、出てくる問題です。こうした問題点があるという発表がありました。
当時、司会をお願いしていた上原先生が論点をいろいろと挙げてくださいました。

薗部 最初の鎌田先生の報告に対する議論としては、地域住民をマネジメントする、観光産業が地域住民をコントロールするというのは不可能ということでした。そのために、観光振興によって地域住民がどういったメリットを享受できるのかを提示して、理解を促すことが重要ではないかといいます。住民が持っている地域アイデンティティが観光振興に積極的に関わるインセンティブになるのかという、地域アイデンティティそのものを考え、そこにどんな意義があるのかをしっかりと考えていくことが重要だと言われていました。
2つ目の研究の金先生の発表に関しては、ポップカルチャー・ツーリズムに対して、住民が温度差を持っているという議論がありました。聖地巡礼のようなものを良いと思う人がいる一方、外部から評価されているものが地域住民の持っている地域アイデンティティとずれていると、もやもやさせてしまう場合があります。少し逆説的ですが、外から見ているからこそ、客観的にその土地を捉えられているともいえるのではないでしょうか。だからこそ地域住民や違和感を持つ人たちは、地域アイデンティティの不一致によって、外部の評価を簡単に否定するのではなく、もしかすると、それが新しい地域アイデンティティになるという、捉え方を変えていくことで、観光地としての魅力を高められるのではないかという見解も出ました。普段の研究会等でも、いろいろと議論しながら、面白いことがないか、考えられないかと話し合いをしています。
(3) – 4 学会員が参加を希望する場合
鷲田 ありがとうございます。新しい学会員が以上の内容からご興味をお持ち頂き、もし参加を希望する場合は、どのように行動すればいいですか。
薗部 まずは研究報告会やカンファレンスのリサーチプロジェクト・セッション等にご参加してもらえたらと思います。

薗部 もちろん、開催する際には告知しますので、チェックしてもらえたらと思います。興味があるという方には私の連絡先をお伝えしますので、興味があるということをその場でお話しください。先ほど挙げた報告会以外の場で開催している、普段の研究会にもご招待します。こちらは、1カ月から2カ月に1回程度、不定期で開催しています。よくあるのは、1人か2人、発表して、「議論の続きは懇親会で」ということも資料に書きましたが、懇親会の場に議論がつながっていくケースがほとんどです。
鷲田 研究会や懇親会は今のところ、主に東京で実施する機会が多いですか。
薗部 そうです。東京で行っています。ただオンラインもつないでいます。研究会の中にも名古屋の大学に所属している先生もいるので、オンラインでつないで、遠方の方にもフレキシブルに対応しています。
鷲田 ありがとうございます。
薗部 ありがとうございます。
鷲田 アジア・マーケティング研究会のご紹介がありました。薗部先生、あらためて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
薗部 こちらこそ、ありがとうございました。

